はじめに
こんにちは。映画研究部3年の大矢です。
謎に続いてきましたこのシリーズ。
秋学期に入り、やることが増えてきた筆者が、現実逃避のために書き始めたため、更新頻度が急速に増加してきました。
「これって、本当に大丈夫なのか?」
おおいなる矛盾を孕みつつ、今回もスタートです。
今回の作品
『八甲田山』
監督:森谷司郎
あらすじ
日露開戦を目前に控えた日本。
ロシア軍との戦いを控え、雪山での軍事訓練を実行することになった徳島大尉と神田大尉。しかし、そこには予想を上回る自然の猛威が待ち受けていた...。
見どころ
前作に続き、「午前十時の映画祭final」二本目の日本映画!!
物語自体はそこまで難しくなく、むしろ”2隊の軍隊が雪山をさまよい歩く”というシンプル極まりない展開ですが、とにかく過酷。
もし、この映画で「映画デート行こう~!!」と言って、女の子を誘う男がいたら、
「一回、雪山で遭難して、その怖さを知ったほうがいい。」そんな一作です。(←ちなみに、筆者はそんな人物を知っている。笑)
もう、何といっても、遭難時のパニック描写が恐ろしい。
凍える雪山でのトイレどうするか問題とか、血だらけになる手のひら問題とか、最終的には精神崩壊するよね問題とか、とりあえず、現実では絶対に遭遇したくない状況が、とんでもなくリアルに描写される本作。
人によってはトラウマ級になるかもしれない自然の残酷さは、ある意味、映画でしか体験できない醍醐味のようにも感じました...。
解説
解説も何も、上映時間の序盤、まぁまぁウトウトしていたので、語ると言うほどのことはないですが(←こらっ!笑)、一つ前の画像から、実は映画とは関係ない雪山のフリー画像を使っています。(←何の解説w)
ちなみに本作、公開当時のパンフレットを確認したところ、撮影にはロケハンを含めて3年という期間を要したというから驚き。
さらには、風の吹く八甲田山を撮影するために3時間近く待ったうえで撮影したり、クライマックスに登場するある人物の上半身裸の体当たり演技は、実際にワセリンを塗って行われていたり、と撮影自体が命がけ。
こんな命にかかわるほどハチャメチャな撮影方法で映画をつくること自体、現在では確実に無理だと思いますが、そういう意味では当時の日本映画界の過酷な撮影環境を克明に映し出したドキュメンタリー映画という見方もできるのかもしれません。
「自然の豊かさ」も描かれた一作
そんな撮影を経て、とにかく「自然の脅威」が注目されがちな本作ですが、実は一方で「自然の豊かさ」が描かれているというのも今作の特徴。
物語の大部分は雪山が舞台となるのですが、中盤からクライマックスにかけて登場する”ある女性”の存在や”終盤で映し出される光景”を見た後には、不思議と、その荘厳さや偉大さが胸に残りました。
自然の恐ろしい部分と素晴らしい部分、その双方がしっかり描かれているからこそ、二つの要素が引き立つ見事な構成となっているのも、本作が名作と言われる所以なのでしょうね。
今回の小道具
ついに、小道具でも何でもなくなってしまうというネタ切れ案件。笑
本作に関しては全くアイデアが浮かばなかったので、googleマップを使うという禁じ手に出ました。(だって、本編中にそれらしきアイテムが全く登場しなかったんだもの...。←言い訳w)
『八甲田山』観ました。
— Tetsuki Ohya (@tetsulikemovies) 2019年7月14日
極限の状況で浮かび上がる人間の本質。
広大な自然の恐怖だけでなく、その素晴しさも描かれているのが印象的でした。 pic.twitter.com/GCLci7eVd2
おわりに
というわけで今回も最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!
この調子で、頑張って現在の上映まで、追いつこうと思いますので、
次回も、どうぞ、お楽しみに~!