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KFC Diary

Filmmaking is our Blood

映画は記憶だ。<『ローマの休日』研究報告>

はじめに

どうも、関大映研3年生の大矢です。
時間が経つのも早いもので、本日をもって3年間を過ごした映画研究部は引退。
これまで、色々とブログを更新してきましたが、今回で僕の記事も最後となります。
折角なので、最後は僕のマイベストムービーについて書かせていただくことにしました。
少し寂しい気持ちもありますが、よろしければ最後まで読んでいただければ幸いです。
 

今回の作品

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出典:https://www.imdb.com/title/tt0046250/mediaviewer/rm3303064576
 

あらすじ

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出典:https://www.imdb.com/title/tt0046250/mediaviewer/rm3616510209
ローマにやって来た異国の王女・アン。居心地の悪い城の中から抜け出した彼女は紳士的な男性・ジョーの助けを借り、ローマで貴重な休日を過ごすことに。しかし、彼には”地元の新聞記者”という秘密があって...。

みどころ

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出典:https://www.imdb.com/title/tt0046250/mediaviewer/rm1382514432

本作のみどころは、何と言っても、今でも全く色褪せない永遠の名女優オードリー・ヘップバーンさんの魅力でしょう。

どこか気が抜けているように見えますが、実は確固たる信念や譲れないこだわりを持っているアン王女。そんな彼女の姿は、可愛らしさと凛々しさを併せ持ったオードリーヘップバーンさんだからこそ描けたようにも思えます。

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出典:https://www.imdb.com/title/tt0046250/mediaviewer/rm2777649409

このように限りなく自然体に近い彼女の姿が映しだされる1シーン1シーンが本当に愛おしくてたまらなかったです。

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また、一般的に堅苦しいイメージのあるクラシック映画ですが、コメディ要素が多く、かなり見やすいのも本作の魅力。自由奔放なアン王女と、それに振り回される新聞記者・ジョーの掛け合いは常に微笑ましく、そのシーンだけでもずっと観ていたい安心感がありました。(ちなみに上の写真は、人の家にも関わらず、すぐ寝てしまうアン王女に困惑しているジョーの図。笑)

解説

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出典:https://www.imdb.com/title/tt0046250/mediaviewer/rm494964993
ところで、本作の中には特に有名な場面の1つとして「真実の口」のシーンがあります。ローマの観光名所を巡る二人と同行するカメラマンがやって来た「真実の口」。「嘘つきが手を入れると噛まれてしまう」という言い伝えがあるその場所で、順番に手を入れる二人ですが、ジョーが手を入れた瞬間に彼は大声を叫び出します。心配するアン王女、しかし、それは彼のジョークでした、というのが一連の流れ。
あまりにも有名なため、本編を観ていなくても知っている人は多いかもしれませんが、実はこのシーンの直後、わずか3秒程度ですが、コチラを見るかのような「真実の口」のアップが映し出されます。
実は本作において「嘘」という言葉は大切なテーマとなっており、このシーンの直前にも、主人公たちが嘘をつくことで何とか警察から逃れるというシーンがあったりするんですよね。
なにより、本作の二人の関係性自体、嘘があるからこそ成り立つ構造になっていて、「アンが王女であること」、「ジョーが新聞記者であること」をお互いに隠しているからこそ成り立つ関係性は、本当は脆いことが分かります。
そんな物語において「真実の口」のアップが意味深に挿入されたことは、この後に起きる終盤の展開を多少なりとも示唆していたのではないでしょうか。
  

映画は記憶だ。

ところで、本作は僕にとって個人的にとても思い入れの強い作品でもあります。

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出典:https://www.imdb.com/title/tt0046250/mediaviewer/rm2626654465

マジで個人的な話になってしまって申し訳ないんですが、この映画に登場するヒロインのアン王女の姿が、大学入学以前、病気で亡くなってしまったお母さんの面影にめっちゃ似てるんですよね。

 

だから、何だか、この映画をみていると、ふと、そんな昔の記憶を思い出したり、しちゃうわけなんですよ...。
 
映画に個人的な体験を持ち込むことは「本当に映画を判断することと違うのでは...?」という意見もあるとは思います。
ただ、僕は映画を最後に作り出すのは監督ではなく、観客そのものだと考えているので、たとえ、それが作り手に意図された形ではなくても、受け手にとって少しでも救いになれば、それも映画を判断することだと思っております...。

 

実際、現実には映画みたいに上手くいかないこともいっぱいありますし、「過去」に戻ってやり直すことは出来ないことだらけです。でも、「過去」から「今」を見つめ直して「未来」を変えることは出来る...。
 

僕は、それが映画の力だと思っています。

 

今回の小道具

そういえば、今回、お墓参りのついでに、初めて家族と一緒に『午前10時の映画祭』に参加したのですが、偶然にも隣の席が1つ空いていて、何だか本当に家族全員で観ている気持ちになりました。

おわりに

コントと言われるような映画ばかり撮ってきた僕が最後にこんなことを言うのも何ですが、これから映画を作ろうと思っている後輩のみんなには、どんな形でも作品を残してほしいと思っております。
 
いくら駄作と言われようと、周りから反発を受けようと、しんどくなって投げ出しそうになっても、自分の撮りたい作品を作ってみることが大切だと僕は思っています。
たとえ納得のいく出来じゃなかったとしても、映像を残すことによって、いつか思い出として蘇ったり、誰かの記憶と結びついて新たな価値を持つことがあれば、いつか必ず自分の糧になるはずなのでは、と。
 
最後の最後で、なんか、それっぽいことを書いちゃって、恥ずかしくなってきたんで、一応、言っときますが、後輩のみんなは折角作った僕の作品も、1年ぐらいは流してもらえるとうれしいです。(笑)
 
というわけで、長々と文を読んでいただいて、ありがとうございました~!!
 
また、どこかでお会いしましょう!!
アディオス!
 
P.S

僕のお気に入り映画館パルシネマしんこうえんにて、来年の2/5~『ローマの休日』が再上映されます!同時上映はなんと『スティング』!お時間のある方は是非!!

www.palcinema.net