はじめまして、映画研究部2年の山中です。
ブログを書くのは初めてですが、近頃、映研内でブログブームが到来しているようで、私も挑戦してみたいと思います。
『へレディタリー/継承』
今回紹介する作品は、私が今年最も楽しみにしていたホラー映画、『へレディタリー/継承』でございます。もう4月くらいに何やらとてつもなく怖い映画が公開するらしいという記事を読んでから、ずーっとずーーーーっと『へレディタリー』のために生きてきました。
そこまで、楽しみにしてたってことは、お前はよっぽどホラー映画が好きなんだと思われるかもしれませんが、私、大のオバケ嫌いでビビりです...はい。けれどもホラー映画って他ジャンルと違い、人を恐怖に陥れるために様々な工夫がなされていて、それがかっこよくて見てしまうんですよね...
もう1つ、本作に注目していた理由があるのですが、私がこの夏休みに制作した映画、『Stand by Minoh-継承-』と『へレディタリー/継承』のサブタイトルが同じなんです!こんな偶然があってよいのでしょうか?『SbⅯ』の公開日が11月1日で『へレディタリー』の公開日が11月30日、はい、完全にやられました。パクられてしまったんです!悔しい!(実際は楽しみすぎて私がパクりました...)
<11月ホラー月間>
日本では長らくB級請負人だったニコラスケイジが最愛の妻を奪ったカルト集団をぶちのめす『マンディ 地獄のロードウォリアー』
どこか可愛げで哀愁のある幽霊のホラー?映画『ア・ゴースト・ストーリー』
意味が分かると震えがとまらないサバイバルホラー『イット・カムズ・アット・ナイト』
人食い姉妹vs超クソガキの台湾映画『怪怪怪怪物』
と今年の11月はホラー映画が熱く、その締めくくりとして、11月30日に『へレディタリー』が公開されるのです。私は全て制覇しましたが、断然『へレディタリー』が最恐で、最後にふさわしかったです。ちなみに『マンディ』は個人的に殿堂入りしました...
<今、最注目の映画制作&配給会社、A24>
11月ホラーの中で、『ア・ゴースト・ストーリー』、『イット・カムズ・アット・ナイト』、『へレディタリー』の3作品は全てA24という映画制作会社が制作、配給しています。
いったいA24の何が凄いのかと申しますと、この会社は、一風変わった、社会性の強い、カルト的な、趣向を凝らした、今風な映画というように、普通な映画とは一味も二味も違うような映画をバンバン輩出しており、世界中のシネフィルから今最も注目されている会社なんです。
過去作にはラララとの激戦を制した『ムーンライト』、ブリラ大活躍の『ルーム』、今年カルト映画として話題になった『アンダー・ザ・シルバーレーク』など、確かに一風変わった映画ばかりですよね。他にもたくさんありますが、詳しくは下記のサイトで確認してください!
そして、『へレディタリー』はこのA24配給作品の中で歴代最高のオープニング興収を達成しています。やばいでしょ、もうパンドラの箱は開いちゃってんだょn......
『へレディタリー/継承』感想
これ、見た直後に書いてますが、まだ震えが止まりません...やばいよ、怖すぎるよ!!!もう前情報で伏線がやばいとか評論家絶賛とかA24とかで空高く上がっておりましたハードルを火星経由くらいの余裕を持って飛び越してくれました。んとに凄まじい。
あらすじ
ネタばれ厳禁色が強いので詳しく内容をお伝え出来ませんが、あらすじとしては、祖母の死をきっかけに、死よりも残酷な運命と、想像を絶する恐怖が家族を襲う。といったところでしょうか。(パンフ丸パクリ)
似ている作品としてはヨルゴス・ランティモス『聖なる鹿殺し』を思いつきました。この作品はギリシャ神話をもとにしたポストハウスアポカリプトホラーでしたが、『へレディタリー』も1700年代のヨーロッパ伝承に登場するぺイモンという悪魔の名が登場します。どこかキューブリック的な1点透視なショットの多様も両作に共通してると思います。
演出
最初から最後まで空間を舐めるように動くドリーショットや奇妙な奥行きを生み出す1点透視図法など、的確に観客の不安を煽るカメラワーク
シンセサウザーのような機械的な音と弦楽器の重低音を合わせた絶妙に気味の悪い音楽
ミニチュアと現実世界を繋げたり、夢と現実、昼と夜を瞬時に切り替えるというような映像トリックを作り出す編集
首ちょんぱっぱ、見えそうで見えない少し見えるお婆、コッ、超絶こっくりっさん、などのホラー演出
そのどれもが凄まじく、画面にくぎ付けになるはずです。特に、一家の娘さんの「コッ」という口慣らし癖があるんですが、それがもうね半端なく怖いです。ほんとうにアイデアの勝利というか、普通に聞いたら何ともない「コッ」に何度も心臓をえぐりだされそうになるんですよ...
脚本、伏線
脚本もとてつもなく作りこまれており、祖母の死から闇にのまれていく一家の母、父、長男、長女の全員にフォーカスを当てていて誰が主人公かも分からず、それぞれに悩みを持たせることで全員に感情移入してしまう。
そしてタイトルの持つ意味は何なのか、いったい誰が何を継承するのか、一家に襲い掛かる絶望がそれを徐々に明るみにしていき、最後には衝撃の結末が待ち受ける。
本作は一度見ただけでは分からない伏線が多いと話題になっていますが、登場人物達の言葉を注意して聞いておくと最後にガッツポーズできるでしょう。アイテムではなくセリフの伏線がすさまじいです。
演技
演出も脚本も素晴らしいですが、本作をより高めているのが俳優の演技です。特に一家の母、アニー役のトニ・コレットと長男ピーター役のアレックス・ウォルフです。
トニ・コレットは『シックスセンス』や『リトル・ミス・サンシャイン』で数々の賞にノミネートされた演技派女優で、本作でも祖母の死に翻弄され、一家に迫る災いに思い悩む一家の母を見事に演じています。彼女が叫ぶ姿にベストスクリーム女優賞を上げようという声もあるそうです。
アレックス・ウォルフは新『ジュマンジ』でロック様になってた子ですね。その時はあまり印象深くありませんでしたが、なにやらハリウッドで最も注目されている若手俳優の一人らしく、今回は本当に素晴らしかったです。『CMBYN』のシャラメ泣きに引けを取らない、ちょんぱっぱハンドル握り泣きや、顔面もぐらたたきを披露してくれました。
長女役のミリー・シャピロちゃんも凄かったですが、怖いので触れません。
<最後に>
いやーほんまに楽しめました『へレディタリー/継承』!と初ブログ!
それにしても監督のアリ・アスターさん、これが長編デビュー作て...恐るべき才能の持ち主だと思います。しかも『へレディタリー』は自身の実体験をもとにしてるらしいです。何があったんやホンマ
そして、これからは『サスペリア』のために生きます。
えー、書いてたら夜が明けてしもたので、、別れのあいさつです。
「ぺイモン万歳!」「コッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」