学生身分でほとんど無いような金をしょってった、レンタル彼女の店。
前をぶらっと通りかかったとき妙に気になったんだ。
そのとき手すきだった女の子をあてがわれて、若干の居心地の悪さをまといながら灰色の街をふらつくうちに、不思議と心持ちが軽くなっていった。
「私いちごとチーズケーキ! 好きなんだ〜」
「なにこれ変な顔〜wはい、これでらくがきして!」
「さっむ〜……て、つないでいい?」
黄色く光るイルミネーションがきれいだった。
だけど、
彼女の手の温もりに癒されたのもつかの間。
制限時間。元の場所。店の前で彼女は言った。
幻との別れに若干の名残惜しさを感じながら、
千円札を9枚数えて手渡す。
微かに、赤くかじかんだ、指先が、
「悪い! もう1時間だけ、延長させて!」
……咄嗟に口をついて出た。
なにかがある気がした
『Be continue』綴/佐渡雪平
関西大学映画研究部