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KFC Diary

Filmmaking is our Blood

ここがすごいよダンケルク

はじめまして。関大映研1回生の清武です。ダンケルク愛をこじらせ、これ描いちゃった人です。今回ブログ初投稿、頑張ります(. . )

 

ダークナイト3部作、インセプションで世界を魅了して来た鬼才、クリストファー・ノーラン。彼がメガホンを取った最新作ダンケルクが、今年の9月9日に日本にて公開されました。ノーランの世界観のファンであると同時に、本作に謎の英国兵役で出演しているキリアン・マーフィーの大大大ファンである私は、公開前からめちゃめちゃ楽しみにしていた本作。公開日の初回に行ってやる!と意気込んでいたものの、部活の合宿に見事に被り撃沈。ということで、大阪に帰って来た次の日にさっそくエキスポシティの次世代IMAXへ。最高の映画体験をしてまいりました。

今回は、そのレビューということで、いろいろと書いてみようと思います。しっかりとレビューを書くのが初めてであるため、拙い文章になってしまうかと思いますが、ぜひ最後までお付き合いください!ネタバレはあまり書かないように心がけていますが…本作に関しては、どこがネタバレになるかわかりません。鑑賞後にお読みになることをお勧めします。

まず、ダンケルクって?というところから。

第二次世界大戦中の1940年、ドイツ軍に侵攻されたイギリス・フランス軍は、フランス北部のダンケルクに追い込まれます。その数なんと40万人。イギリスのチャーチル首相は、全軍あげての撤退作戦を命じます。ドイツ軍が優位とみられる中、軍艦・漁船・ヨットとあらゆる船舶を使用した史上最大の救出作戦が行われました。この救出作戦こそが「ダンケルクの戦い」。本作は、その作戦の様子を描いたものとなっています。

もちろん賛否両論はあるものの、非常に高い評価を得ている本作。公開から1か月半ほどたった現在でも、エキスポの次世代IMAXで1日3回上映していることからも、その人気ぶりがうかがえます。これを書いている私も無論、大ファンの1人で、結局今まで4回も観に行ってしまいました。全部IMAXで観たので深刻な金欠です。それはさておき、やはり多くの人を惹きつける魅力がある作品であるのは事実。じゃあ、何がそんなにすごいのか。私なりに考えてみました。

1つに、やはり映像の素晴らしさだと思います。ノーラン監督は実写にこだわっていて、本作でもほとんどCGは使われていません。この写真からも分かる通り、実際に海の中で、飛行機のそばで、撮影をしたようです。こんな感じ。

そのため、観客である私たちは、実際にダンケルクの浜辺にいるかのように、スピットファイヤで空を飛んでいるかのように感じることができます。まるで、1人の兵士としてその場にいるかのような感覚を味わえるのです。まさに、究極の臨場感。兵士の足音や息遣いを観る人に届け、ダンケルクの緊張感を再現し、戦う人の目をスクリーンに映し出した。ベタだけど、それが本作のすごさなんじゃないかなぁと思っています。その分、映画を観た後すごく疲れる、けれど、心に響き、残るものはすごく大きいです。

 また、本作は戦争をテーマにしているにもかかわらず、戦争映画ではない、というところにも鍵があるのではないでしょうか。ノーラン監督がインタビューで「私はこの作品を戦争映画だとは思っていない。」と話していることからもわかるように、本作はあくまで、迫る敵から逃げる兵士の姿を描いた“サスペンス映画”なのです。だからこそ私たちは、彼らの運命はどうなるんだろう…という純粋な好奇心を持つことができる。そして、一瞬たりともスクリーンから目が離せなくなる。最後まで映画の世界にどっぷりと浸れるのだと思います。

 そして、もう一つ。本作は、史実を非常に客観的な立場から描いていると感じました。実話を基にした多くの映画は、その実話に対しての作り手側の“意見”があって、その意見を伝えることができるようにストーリーを組み立てていると思います。対してダンケルクは、その“意見”の部分を、観る側に委ねているような気がしました。あえて個々のキャラクターを目立たせず、客観的な立場からダンケルクでの出来事を淡々と描いているという印象。まるでノーラン監督が“こんなことが起こったんだって。あなたはどう考える?”と観客に問いかけているような感じ。もちろん、作り手側としての意見はしっかりあると思うのですが。ただ「面白かった!」で終わらない、観客に“考えさせる”映画だからこそ、深みがあり、多くの人を引きつけるんじゃないかなぁと。また、同時に、監督の謙虚な姿勢も感じさせられます。監督自身は戦争を経験していない、だから、戦場での本当の苦しみや大変さは、私たちと同様にご存知ないのだと思います。そこで決して分かったつもりにならず、「自分はリアルな戦場を知らない、だから、起こったことを描くことに徹する」といういい意味での割り切った姿勢が、作品を通して伝わってきます。個人的には、この謙虚さに非常に惹かれました。

まだまだ書き足りないことはありますが…以上の3点が、ダンケルクの大きな魅力だと思っています。ここまで書いて思うのは、やっぱりノーラン監督すごい。ダンケルクすごい。

ということで、最後に謎の英国兵の話だけさせてください。

私が大好きなキリアン・マーフィー演じる「謎の英国兵」(写真の右の人)。

やっぱりノーラン監督が描くキリアンは癖があってとっても魅力的だなあと、いつも感じさせられます…と、それは置いといて、謎の英国兵は、英語名のshivering soldierという名前からわかるように、戦争の恐怖に震える非常に弱々しい人物として登場します。そのため、部活で本作を鑑賞した際、「キリアンダメじゃん」という感想が多く見受けられました。聞き捨てなりません。いやまあ確かにそうかも知れないけど!謎の英国兵は、ネクタイをしていることからも分かる通り、主人公たちよりは地位が高い兵士だと思われます。

そんな彼が、ダンケルクにてただの震えるショック状態の男になってしまった。その設定から、彼は本作の中で、戦争の怖さや人間の脆さを象徴する存在として位置づけられていると考えられます。そんな彼は、一番人間らしいし、だからこそノーラン監督は、信頼しているキリアンにこの役を任せたんじゃないでしょうか。

 こんな感じで、キャストに注目して観ても面白いダンケルク。1Dのハリーがキャスティングされたことでも話題になりましたね。ノーラン監督が選んだ映画界の精鋭たちが総出演、というところも見所です。

 

と、ここまで長々と感想を書いてきましたが、この辺で終わりにします。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。私が感じたダンケルクの魅力が少しでもお伝えできていれば幸いです。ノーラン監督の傑作であるダンケルク、なんだかんだ言ってすごく単純なストーリーであるからこそ、時代を超えて愛されるのではないでしょうか。これからも何度も見て、いろんなことを考えたい大切な作品です。ブログを書いたらまた映画館に行きたくなってきました。それでは。

 

参考

ジョシュア・レヴィ―ン『ダンケルク』(2017、ハーパーBOOKS)

ダンケルク」特集 クリストファー・ノーラン インタビュー(http://natalie.mu/eiga/pp/dunkirk/page/2

Dunkirk Post: Wrangling Two Large Formats(https://ascmag.com/articles/dunkirk-wrangling-two-large-formats

Wallpaper home (https://wallpapershome.com/movies/drama/dunkirk-army-tom-hardy-cillian-murphy-best-movies-12934.html)

(https://wallpapershome.com/movies/drama/dunkirk-fionn-whitehead-4k-14330.html)

Ciatr 映画『ダンケルク』あらすじ・キャスト【クリストファー・ノーランが描く史実映画!】(https://ciatr.jp/topics/150209

IMDb Cillian Murphy Photos (http://m.imdb.com/name/nm0614165/mediaindex?ref_=m_nm_pv_mi_sm)

IMDb Dunkirk Photos (http://m.imdb.com/title/tt5013056/mediaindex?ref_=m_tt_pv_mi_sm